小学館ライトノベル大賞で優秀賞を獲得した、ガガガ文庫期待の一作『弱キャラ友崎くん Lv.1』を購読しました。日本一の格ゲーマー・友崎文也がパーフェクト美少女・日南葵の手によって人生を“攻略”していく様が描かれていきます。

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人生というクソゲーを攻略せよ!
第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作が登場

屋久ユウキさん作『弱キャラ友崎くん Lv.1』を購入しました。本作は第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞を受賞しており、ガガガ文庫期待の一作となっています。

弱キャラ友崎くん Lv.1 (ガガガ文庫)

これが人生(クソゲー)攻略の最前線!

人生はクソゲー。このありふれたフレーズは、残念ながら真実だ。

だって、人生には美しくシンプルなルールがない。あるのは理不尽と不平等だけ。自由度が高いなんてのは強者の言い分で、弱者には圧倒的に不利な仕様でしかない。

だから、クソゲー。
あまたのゲームに触れ、それらを極めてきた日本屈指のゲーマーである俺が言うんだから間違いない。

――だけどそいつは、俺と同じくらいゲームを極めてなお、「人生は神ゲー」と言いきった。

生まれついての強キャラ、学園のパーフェクトヒロインこと日南葵。
しかも、「この人生(ゲーム)のルールを教えてあげる」だって?

……普通は、そんなの信じない。
だけど日南葵は、普通なんて枠にはまったく嵌まらないやつだったんだ!

第10回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。弱キャラが挑む人生攻略論ただし美少女指南つき!

出典 Amazon商品紹介より抜粋

格ゲー日本一の非リアをプロデュース!
リア充講座が真に迫る一方、設定を活かしきれていないところも

前評判でよく『俺ガイル』と比較されている本作。また一方で実際に読んだ方のレビューを見ると「ガワだけそっくりで中身は別物」という評価も同じくらい見るのですが、筆者が読んだ感想も後者。
主人公・友崎文也出だしの語り口は確かに俺ガイル一巻を彷彿とさせますが、どちらかといえば白岩玄・著『野ブタ。をプロデュース』それも亀梨和也主演のドラマ版に近いんじゃないかなぁと思いました。また、「人生はクソゲー」という言い回しと、葵がヒロインを理詰めで“攻略”していこうとする様は若木民喜さんの「神のみぞ知るセカイ」を彷彿させますね。

読み味は悪くなく、続刊作品ながら一冊できちんと物語が完結しており、作品のクオリティは高く感じました。ただ、葵のリア充講座が真に迫っている一方で、作品のキーともなっている「アタファミ」がうまく生かされていないような印象。
本作では、少なくとも文也と葵の間で「アタファミは神ゲー」という前提条件があって初めて成り立っていると思うのですが、劇中の描写ではいまいち全貌が見えてこず、文也が語るウンチクも「なんとなく凄いんだなぁ」くらいにしか感じられなかったのが残念でした。あるいは文也の“ニッチさ”を演出しているのかもしれませんが、そうであれば、スクールカースト上位の中村が熱中してしまう展開はどうなのかなぁと……。

また、テンポ良くキャラクターが動く裏側に「脚本のレール」のようなものが透けて見えてしまって、若干シラけてしまうところも。葵の努力描写やラストの文也の啖呵がまさにそれで、第10回小学館ライトノベル大賞でゲスト審査員を務めた渡航さんの「一番ライトノベルらしい作品」という評はそこを指しているのかな、とぼんやり。

……とまあ、ここまでいろいろとマイナスな意見も述べてしまいましたが、決してつまらない作品ではなかったです。しっかり一つの作品として完成していますし、デビュー作品ということを鑑みれば及第点なのではないでしょうか。筆者も続刊を追っていくつもりなので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

総評

そつのない「優等生」な作品。展開の意外性が今後のカギか

続刊作品ながら一冊できちんと物語が完結しており、デビュー作ながら全体的そつなくまとまっている印象。一方で作者がどうキャラクターを動かしたいのかが透けて見えてしまうところもあり、中盤からラストまでの展開に意外性は薄かったです。まだシリーズ1冊目ということもあり、次巻からどのように物語が動くかに期待したいですね。

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