“はた魔”最新刊は6つのエピソードで構成された特別編!
日常回ながらも、個々のキャラクターにさらなる掘り下げが図られたファン必見の一冊に

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恵美のマンションが安価な理由がついに明らかに!?
本編では語られなかった日常を描いた6編のエピソード

はたらく魔王さま! (14) (電撃文庫)

電撃文庫の人気ライトノベル『はたらく魔王さま!』最新14巻が9月10日に発売されました。

今回は本編を少しお休みして、これまで電撃文庫MAGAZINEに掲載されていた短編5作に加え、恵美が日本に流れてきてすぐの様子を描いた書き下ろしエピソードが収録された短編集となっています。

ここでは6編あるエピソードのうち、筆者が好きな3作をご紹介。

勇者と女子高生、友達になる

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口にするのは勇気が要る。
でも、この面々の前では今更だろう。
はやる心を抑えながら、千穂は口を開いた。
「最後に一つだけ、聞いていいですか?」
三人の目をしっかりと順繰りに見ながら、息を吸う。
「私は……このまま真奥さんを好きでいて、いいですか?」

出典 『はたらく魔王さま!』14 P49より抜粋

真奥とルシフェルの激闘から数日が経った。巻き込まれ、真実を知ってしまった千穂は未だ心の整理をつけられないでいた。真奥とどう向き合えばいいのかわからないまま、戦いの現場である笹塚駅に足が向いてしまう。するとそこには勇者エミリアこと恵美と仲間のエメラダ、アルバートが現れて——?

原作1巻直後、恵美と千穂が如何にして友達になったかを描いたエピソード。あとがきにも書かれていましたが、この時点でもうすでに鋼メンタルな千穂ちゃんに脱帽。真実を知ってしまった千穂の動揺から始まるエピソードではあるものの、終始千穂の真奥への恋心は一貫していて、異形の姿を目にしてなお一人の人間として真奥を慕っている様は、ちょっと「普通の女子高生」からは逸脱してますね。

ちなみに並行して描写されているアルバート・エメラダとの“異文化交流”も秀逸。エンテ=イスラ編の時もそうでしたが、舞台背景がしっかり練られていることがよく分かるシーンになっていますよ。

魔王、上司の過去を知る

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「世界を変えたり、作ったりするには力と、何より心から信頼できる仲間が必要だ」
それは木崎に言われるまでもなく、真奥自身が一番よくわかっている。
〈中略〉
「そして今の私の店のクルーの中で、これから最も長く仕事を共にできそうな未来の余白がある者は君しかいない」

出典 『はたらく魔王さま!』14 P221より抜粋

急にサリエルが店に姿を見せなくなったことを訝しむ木崎と真奥。探りを入れようとした矢先に来店したのはなんと木崎の天敵!?笹塚のファーストフード店で巻き起こる頂上(?)決戦に恐怖する真奥と千穂……果たして彼女の正体とは!?

メインキャラクターではなく、真奥が働くマグロナルドの店長・木崎にフォーカスが当たったエピソード。
TVアニメ版のオリジナルキャラクターであった水島由姫が登場。真奥が逆らえない人間しか出てこないというのも珍しいですね。
このお話ではサブキャラクターである木崎の掘り下げはもちろんですが、何より作者の労働観みたいなものが見え隠れしているのが面白い。今回語られた三者三様の労働観こそが、おそらく真奥が人間社会で学びたいことの肝になっているのかなぁなんてボンヤリ。

メインキャラクターがほとんど出ない珍しいエピソードだったものの、王道ファンタジーな世界再生を「事業」と称してしまう、「はたらく魔王さま」ならではの短編だったと思います。

はたらく前の勇者さま!—— a few days ago ——

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「ううん、もっと直接的なきっかけがあったの。私が日本にやってきてすぐ、見る物全てが未知で、右も左も分からなかった頃のことよ」
恵美は、何年も前のことのように思えるほんの少し昔を、静かに語りはじめた。
真奥貞夫を、いや、魔王サタンを追ってゲートに飛び込み『異世界』の国である日本にやってきた、ほんの少し昔のことを。

出典 『はたらく魔王さま!』14 P221より抜粋

魔王を追ってエンテ・イスラから日本に降り立った勇者エミリア。疲れ果て、迷い込んだ高級マンションでの一つの出会いが彼女の運命を大きく変えることに——?

原作1巻以前、恵美が日本に降り立ったばかりのエピソード。異世界でたった一人奮闘する恵美と、一人の女性との出会いが描かれています。繰り返し語られていた「ワケあり」の一因を恵美が担っていたのも驚きですが、魔王を見つけるための手がかりに土地の値段を参考にするとか、この作品でしかありえないですよね。多分、「路線価図」なんて単語が出てくくるラノベは他にない気がします。

これまでに挙げた3編以外にも、調理器具に一喜一憂する芦屋や恵美と真奥がケータイを新調するエピソードなど、全体的にゆるい雰囲気ではありますが、個々のキャラクターに掘り下げが図られている一冊になっていると思います。

黒幕の名前も判明し、物語も佳境に差し迫っている本編。これから先シリアス要素が強くなっていくことが予想されますので、本書を読んで肩の力を抜きながら次巻を待ちたいと思います!

総評

短編集ながら、各キャラクターをより掘り下げた内容に

雑誌掲載された短編をメインに構成された短編集。本編が佳境を迎えようとしているタイミングだけに若干の肩すかし感は否めませんが、どのエピソードもキャラクターをより掘り下げた内容になっていて読み応えある一冊になっています。

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